この前、ビルの窓から隣の建物の解体工事の現場の様子が丁度上から覗ける形になっていたのでしばらく覗いた。その光景を見たことなかったから。
勿論工事最中じゃなくて、作業が終わった後の風景だった。
周りの建物は生きていて見慣れたいつも通りのビルなのに、そのバリケードの中だけコンクリートもなく地面が剥き出しで瓦礫が散乱し、ショベルカーが何台も樹液を吸う為に木に集まった虫みたいに動きを止めたままになっていた。
灰色のがらくた達の中でオレンジと黄色のソレらは、やたら際立って見えた。
破片の中にドアがあったり、崩れたコンクリートの外壁からわさわさと鉄の毛が生えていたり、ぐにゃぐにゃに曲がったパイプが生えている様は実に興味深かった。
晴れた夕方で太陽の当たり方もよく、瓦礫がすこし黄色く見え、コントラストがありながらも調和している様に思えた。
普段地面を歩いている時にショベルカーを見たら「大きいな」と思うのに、視点が変わって上から見れば「虫の様」などと思う。
引きで物の全体を見たとき、真近で物の詳細を見たとき、印象が全然違う。
多くの物事にこの感覚って当てはまる様な気がしている。
このグングン縮尺が変わっていく感覚、眠い時に似てる。